このレースは日本人の琴線に触れた。
こういうの好きなのだ、我が日本人は。
少しずつ世代の違う四人が、団結して手に入れたメダル。
体型や身体能力で劣る分を、努力とチームワークで乗り越えた勝利。
日本人の感動ぶりは、ほとんど日露戦争の勝利、「坂の上の雲」レベルである。
だが、私も感動した。
最高齢、36歳の朝原選手の顔に刻まれた皺が輝いて見えた。
日本人は苦労人が好きなのである。
観客席で、為末が泣いていたのも胸に迫った。
ハードルでも、少し前に行なわれた1600メートルリレーでも予選落ち。
四人とも座り込んで泣いていた。
そんな為末が、仲間の銅メダルを祝って泣く姿も美しかった。
仲間を思う、その気持ちが胸を打つのだ。
この気持ちがしばしば悪用されてきたわけだが。
で、こういうのを見るとやはり、日本は極端な能力主義を取らない方がいいことがわかる。突出した個人の優遇より、チームプレーで力を発揮するからだ。
男子水泳の400メートルリレーもそうだった。
個人の能力を精査して全て数字に還元し、特別に能力の高い人間を優遇するというシステムは、日本人には合わない。そういう環境には耐えられないのだ。
そういうシステムでやる気を起こすのは、特別に自信のある人間だけだ。
競争至上主義の政治家たちは、この結果から多くを学ぶべきだろう。
日本を沈没させたくなければ。



