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韓国ドラマを観て考えた、日本の民主主義
 アメリカ式の成果主義や競争主義ではうまくいかないということが、やっと分かってきた今日この頃。敗戦以来60年以上たって、ようやくアメリカ文化を相対化する視点が出てきたということか。

 もっともファッションでももう、アメカジは輝きを失っているし、マクドナルドは安いハンバーガーの代名詞。ハリウッド映画の魅力は薄れ、少なくとも生活文化におけるアメリカ一極支配は終わっている。かつて知っていれば自慢できたアメリカンコミックも、今は人気がない。

 表面的には日本人は変わった。マイクを向けられるとおどおどしていたのが、積極的に自分をアピールするようになった。地べたに座るし肌は出すし、英語ができる人間も増えた。
しかし、根本的な部分はどれぐらい変わっただろうか。

 日本人は激しい競争には絶えられないし、何よりもそんなに強い個人にはなれないのである。アメリカ人のように振るまえる人間が有能と評価されているようだが、多くの人間はやはり地味なままだ。親切でいい人間たちだが、一人で行動することはできない。

 いま土曜の夜NHK総合テレビで、韓国で大ヒットしたドラマ「ファン・ジ二」が放映されている。その前半の山場は、身分違いの恋が引き裂かれ、男の遺体を乗せた手押し車が雨の中、女のいる教坊の前に差しかかる場面である。いきなり車が重くなって動かなくなるのだ。

 その時に女(チ二)が出てきて上着を脱ぎ、棺にかけて泣きながら、「もうこんなことはやめて」と語りかける。すると車が軽くなって動き出すのである。どしゃぶりの雨の中、誰もが号泣する。韓国人はここで泣いた。そして日本人も泣く。古くさいとは思いつつ、でも泣けるのである。

 私はその場面を観ながら、欧米型の民主主義を基準にしている限り、いつまでも「日本は遅れている」ということにしかならないのではないかと感じた。「市民革命がなかったからダメなんだ」と言っていると、いつまでたっても市民は誕生しない。日本には日本の現実がある。

 こういう感性を笑う人も少なくないが、では皆そんなにドライに生きているかというとそうでもない。何かあると、とたんに崩れてボロボロになってしまうのである。誰にも悩みを打ち明けられず、うつ病や自殺が蔓延しているのもそのためではないか。見えないところにしわ寄せが来ているのだ。

 日本は、社会の表面と実態との間に乖離がある。そこに家族愛の物語や消費文化、排他的ナショナリズムが入ってきているような気がする。生活実感を無視せず、それでいて草の根保守主義にも足下をすくわれない、土着的な民主主義を構築することが必要だろう。これが難題なのだが。ヒントは恐らく近代史の中にある。

 
 
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